クラシック音楽界の世界的ピアニストで指揮者のウラディミール・アシュケナージ氏が引退を宣言しました。また巨星が引退ということで。クラシック音楽ファンの間で、ショックでとても寂しいことだと、話題です。
スポンサーリンク
輝かしい活動経歴
旧ソビエト連邦の出身です。1955年のショパン国際ピアノコンクールで2位に入賞し、56年のエリザベート王妃国際コンクールと62年のチャイコフスキー国際コンクールでは立て続けに優勝するという、完全なる実力ピアニストでした。
録音数もとても多く、ベートーヴェン、ショパン、ラフマニノフ、ムソルグスキー、ラベル、バッハ、モーツァルトなどなど、レパートリーが幅広いです。スタンダードな代表曲はほぼモノにしているという点は、後はバレンボイムぐらいでしょう。
指揮者中心の活動になっても世界的ピアニストというイメージは強かったですね。
評価としては、「教科書的でつまらない」という一方「しっかりした技巧で奇をてらわないし、聞いていて安心」ということで、好き嫌いが分かれるピアニストでした。
言えることは間違いなく質の高いのピアノ表現を聞かせてくれたことです。
ウラディミール・アシュケナージ氏の引退の時期と理由
旧ソ連出身の世界的ピアニストで指揮者のウラディーミル・アシュケナージ氏(82)が公演活動から引退することを決めました。所属事務所が17日、声明で明らかにしました。アシュケナージ氏はベルリン・ドイツ交響楽団の首席指揮者やNHK交響楽団の音楽監督などを務めました。https://t.co/FBZYqtqQUm
— 時事通信国際ニュース (@jiji_gaishin) 2020年1月18日
17日報道された時点で、すべての音楽活動を引退ということです。だから突然ですね。理由は明らかになっていません。
ただその前ぶれはありました。2018年金沢での「風と緑の楽都音楽祭」でのモーツァルトの指揮ぶりは精細を欠いていたという意見もありましたし、去年の5月には右手の不調のため、予定されていた日本公演は急きょ中止になっていました。
以前のようなクオリティはできないと完全に認識したのでしょう。
所属事務所のホームページで、
he has throughout his 70 year career never neglected smaller places including tiny islands and remote communities.
70年にわたるキャリアにおいて、小さな島や遠隔地に至るまで、どんなささやかな場所をもおざなりにすることが決してなかった
https://www.harrisonparrott.com/news/2020-01-17/vladimir-ashkenazy-retires?fbclid=IwAR0Y9xWT3BXqXD-UJnTbx5bWiPAAAD6ecWrZBjDcmrynBpA2ybygtrveAds
という話からして、中途半端な質をもってしての活動は許せなかったのではと、想像するに難しくありません。
ソロピアニストの引退、そして音楽活動の引退
ピアニストのソロ公演活動の引退は2010年ごろです。ただ録音活動は継続しました。バッハのパルティータ全曲は2010年に発表されていますし、息子さんとの親子によるピアノ・デュオ リサイタルも行っていました。
ピアノの練習も毎日のように欠かさずやっていたという話ですから、指揮者中心の活動になっていても、ピアノから完全撤退することはありませんでした。しかしついに指揮者もやめる決断にいたりました。
ネット上では「寂しくなるな」「素晴らしい演奏を体験させていただいたことに感謝です」「お疲れ様でしたと言いたい」「想像以上にショックで、 今は言葉がありません」「人生で一番影響受けた演奏家」と、やはり寂しがるコメントが多数です。
ただプライベートから完全に音楽をなくすことは考えられません。とっくに引退したアルフレート・ブレンデルみたいに、どこかで若手の育成やアドバイスなどでファンと接点を持ってもらいたいですね。
スポンサーリンク