企業の人手不足問題が叫ばれてから久しいです。これは日本だけではなく、世界的な傾向です。今後ますます人手不足は深刻化すると言われています。その対策として一つあげられているのが、「ギグ・ワーカー」の活用だとされています。
なぜなら、ギグ・ワーカーが今後増えつづけるとみられるからです。それを活用しようという動きです。
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ギグ・ワーカーとは
「ギグ」とは、音楽に詳しい人ならば、なじみある言葉です。ジャズなどのライブハウスで即興的に一回限りの演奏することを言います。音楽のスラング用語です。よってギグの後ろにワーカーつけてギグ・ワーカーとなれば、自分の都合の良い時間に、単発で仕事を請け負う労働者、という意味になります。ギグ・ワーカーの労働力に支えられる経済を「ギグ・エコノミー」と呼んでいます。
自分の好きな時間に自由に働きたい
アメリカでは、子供のころからスマホやパソコンといったデジタル環境になじんでいる世代が、人口の45%以上となっています。デジタル・ネイティブと言われる世代です。彼らは労働環境の良さや生活のバランスを重視する傾向があり、自分の好きな時間に自由に働きたいと願う人たちが多い世代です。
必要な労働力を持つためには、彼らを取り込む必要があります。今後、フルタイムで働く人たちの割合が減り、ギグワーカーとロボットの割合が増えると予想されます。当分、人工知能やロボットだけでは、人手不足は解消されませんので、しばらくはギグワーカーとロボットが並行するような形で労働を担っていくでしょう。
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タスクラビットとイケア
例えば、家具大手のイケアが買収した「タスクラビット」は、ギグワーカーの登録者数が6万人以上います。サイトに公開された会社の中から、自分の好きな仕事を選んで業務を請け負います。
イケアはもちろん自分の会社にでも活用しています。顧客の購入した家具などの配達、設置、組み立て、店内のスタッフ業務を「タスクラビット」から調達しているのです。
ただギグワーカーを採用するからには、業務の標準化や勤務シフトの綿密な計画性など、高度な仕組みづくりが必要です。新しい労働環境の構築には、時間も手間もかかります。
実力社会
また法整備も必要です。不安定な立場であるため、福祉の面をサポートする必要があります。また能力の低い人は低賃金の仕事しかない一方、アメリカのギグワーカーの40%が年収1000万という話があるぐらいの実力主義の世界です。格差がもっとひろがるのでは、という懸念もあります。
以上のようなことから、課題はいろいろあり、解決しなければならない問題はあります。労働力の確保を昔のやり方でずっと行っていくか、それともギガ・ワーカーをうまく採用していくかは、個々の企業の考えによります。ただ、柔軟な対応ができない企業は時代に取り残されていく、ということだけは言えそうです。
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