「ボストン美術館展 芸術×力(げいじゅつとちから)」が2020年の春から2021年にかけて開催されます。
美術ファンとして無視ができない、というか無視したら後悔するような内容です。ボストン美術館展は過去に何度も開催されていますが、今回は西洋や日本の絵画・工芸と幅広い展示内容。権力者と美術品の関連性がテーマのようです。
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巡回先は3都市。2021年まで開催
東京展から始まって、福岡展、神戸展と巡回します。北海道や東北の方は東京展に来るしかないですね・・・
- 東京展:2020年4月16日(木)~7月5日(日) 東京都美術館
- 福岡展:2020年7月18日(土)〜10月4日(日) 福岡市美術館
- 神戸展:2020年10月24日(土)〜2021年1月17日(日) 神戸市立博物館
目玉はやはり2つの絵巻物
目玉はなんといっても《吉備大臣入唐絵巻》と《平治物語絵巻 三条殿夜討巻》でしょう。この2つは日本にあったら間違いなく「国宝」だと言われています。2つとも日本での展示は8年ぶりです。前回は2012年3月に東京国立博物館で開催された「ボストン美術館 日本美術の至宝」でした。
ということは、日本で見られるのは、8~10年に1回ということでしょうか?。逃したらボストンへ行くしかありません。いや、ボストン美術館でもなかなか展示出来ないらしいです。ということでビックチャンスです。日本史の教科書にも載っているほどの名品を逃さないように!
増山雪斎とは誰なのか
日本初公開となる掛け軸があります。江戸時代中期の大名・増山雪斎が描いた《孔雀図》です。ボストン美術館でもほとんど公開されていないそうです。今回の展覧会のために1年ほど修復がなされ、展示されます。
しかし増山雪斎(ましやま・せっさい)を知っている方は、マニアックな美術ファンだけですね。彼は伊勢国長島藩の五代藩主でした。三重県のお殿様だったわけです。一般的には、増山正賢という名前で知られ、雪斎は号です。
wikipediaでは
政治面では無能であったといわれているが、文化面に関しては当時において一流の人物だったと言われている。
と、ストレートに「文化人としてはすばらしいけど、政治は無能」と説明されちゃっていますが、珍しくはない話ですね。文化にいそしむ政治家は数々います。ただそのレベルが違う。
2019年に三重県立美術館で回顧展が開かれていました。虫好き大名として紹介されていて、画力が高く、写生は、若冲や応挙なみ。南画も博物画を描くという、大名さまの余技を完全に超えた人です。
そんな増山雪斎の名作が日本にやってきます。チラシで見る限り、殿様が描いたとは思えない完成度です。いや本来の殿様としての実績はほぼゼロらしいですが。
混雑は必須
前回の「ボストン美術館 日本美術の至宝」では、《平治物語絵巻 三条殿夜討巻》は、あの見事な炎の描写部分や白熱した戦いシーンを見逃すまいと大勢の列をなし、しかもなかなか列が進まず、空きもせず、鑑賞するのが大変でした。今回も混雑必須でしょう。なるべく開催されたら早めに行くことをおすすめします。
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