イギリスにガーディアンという大手新聞社があります。そのホームページの記事(2020年2月1日付け)に、ベートーヴェンについての記事が話題です。ベートーヴェンは少しは耳が聞こえていたという話です。
スポンサーリンク
‘Deaf’ genius Beethoven was able to hear his final symphony after all
https://www.theguardian.com/music/2020/feb/01/beethoven-not-completely-deaf-says-musicologist
ベートーヴェンは第九の交響曲は聞こえていた、という題の記事です。
クラシック音楽に詳しい人であれば、晩年ベートーヴェンは耳が全く聞こえなくなっていた、にもかかわらずそれに屈せず頑張って優れた曲を残した、というエピソードは知っています。
しかし、この記事によると、実際は少しは左耳が聞こえていた、という内容です。
オハイオ州ケント州立大学の音楽学教授であるセオドア・アルブレヒト教授にいわく、「伝記の修正が必要になるかも」と述べています。
ベートーヴェンは、会話ノートを使って友人や知人と意思疎通を図っていました。いまも残っています。137冊がベルリン州立図書館に、2冊がボンのベートーヴェンハウスにあります。実際は合計400冊はあったんじゃないかと言われています。
ベートーベンは全く耳が聞こえていなかった…わけではない理由
スポンサーリンク
記事によると、
- とある人の助言で、左耳の聴力を保つためにもラッパ型補聴器の使用を止めるよう言われたこと。
- 知人の音楽家から、コンサートの指揮をやると聴力に負担がかかるからやめたほうがいいと言われていたこと。
などの話が残っているそうです。わずかな聴力を失わない努力をしていたことが伺えるものです。
ただこの話は新説ではない、ですね。かなり以前から指摘されている説です。
幼いフランツ・リストが晩年のベートーヴェンの前で演奏を披露して、高く評価したという話がありますが、まったく耳が聞こえていなければ、そういう行動はとらなかっただろう、と言われています。
そもそも全く聞こえていなければ、第九はもちろん、弦楽四重奏曲やピアノソナタ29番ハンマークラヴィーアとか最後の3つのピアノソナタという傑作は産めなかったのでは、ということも指摘されています。
そうすると、ここで一つ矛盾があります。第九の初演のとき、聴衆の大拍手に気づかなかった説はなんだろう、ということになります。実は気づいていて、聞こえていたのかもしれませんね。そのところの真相はやはり謎ですね。
それで会話ノートが今回英訳出版されるということです。英訳は初めてとのこと。合計12巻という巨大なプロジェクトということで注目されているようです。
少しは聞こえていた、ということで、なんだそんなに超人でもなかったんだ・・・と感じてしまうところですが、彼が残した遺産の価値が損なうことは全く無いでしょう。それは間違いないことですね。
スポンサーリンク